
千葉県市川市大野町にある駒形大神社(こまがただいじんじゃ)では、毎年1月20日に「にらめっこおびしゃ」と呼ばれる、全国的にも珍しい伝統行事が行われています。
この行事は市川市の無形民俗文化財にも指定されており、地域の氏子たちによって長年大切に受け継がれてきました。
「にらめっこ」と聞くと子どもの遊びを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ここで行われるにらめっこは一味違います。
笑えば負け、負ければ大盃の熱燗を飲むという、厳しさとユーモアが同居した市川らしい奇祭です。
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おびしゃ(御奉謝)とはどんな行事?
(写真提供:公益社団法人 千葉県観光物産協会)
「おびしゃ」とは、もともと弓を射てその年の豊作や吉凶を占う神事のことを指します。
全国各地に似た行事がありますが、地域ごとに内容が異なり、市川市大野町の駒形大神社では、独自の形で発展してきました。
このにらめっこおびしゃは、安政年間(1854〜1860年)の記録をもとにした祭礼で、明治11年(1878年)に書き写された古文書を基に、現在の形が守られているといわれています。
200年近い歴史を持つ、由緒ある行事です。
にらめっこおびしゃ当日の流れ
餅つきと準備から祭りはスタート

(写真提供:公益社団法人 千葉県観光物産協会)
当日は朝から氏子たちが集まり、境内の準備が始まります。
しめ縄や飾り物を整えたあと、「三臼(みうす)」と呼ばれる臼を使って餅つきが行われます。
この餅は神前へのお供えや、後に行われる行事に使われ、祭りに欠かせない重要な役割を担っています。
厄払いの意味を持つ「餅ぶつけ」
餅つきの後には、参加者同士で餅を投げ合う「餅ぶつけ」が行われます。
一見すると賑やかな遊びのようですが、これには厄払いや無病息災を願う意味が込められています。
餅をぶつけられると、その年は健康に過ごせる、福が訪れるとも言われており、毎年笑い声が絶えない場面のひとつです。
クライマックス「にらめっこ」の儀式

(写真提供:公益社団法人 千葉県観光物産協会)
祭りの最大の見どころが、このにらめっこです。
氏子が2人1組で向かい合い、行司を挟んでにらみ合います。
互いに大盃に注がれた熱燗を同時に口に付け、笑わず、動かず、じっと相手を見つめ続けます。
周囲の人たちは、声をかけたり、冗談を言ったりして、必死に笑わせようとします。
それでも耐え抜いた方が勝者です。
しかし、笑ってしまったり、視線をそらしたりすると負けとなり、「罰盃(ばっぱい)」として、さらに大盃の酒を飲むことになります。

(写真提供:公益社団法人 千葉県観光物産協会)
真剣勝負でありながら、どこか人情味があり、見ている側も思わず笑ってしまう——
そんな空気感こそが、にらめっこおびしゃ最大の魅力です。
開催日・場所・見学について

(写真提供:公益社団法人 千葉県観光物産協会)
開催日:毎年1月20日
場所:駒形大神社(市川市大野町4-2759)
見学:自由(観覧無料)
地域の祭りではありますが、一般の見学も可能で、地元住民以外の来場者も歓迎されています。
毎年多くの人が訪れ、市川の冬の風物詩として親しまれています。
(地図:グーグルマップで見る)
にらめっこおびしゃが今も続く理由
にらめっこおびしゃは、単なる珍しい行事ではありません。
そこには、地域の結束、無病息災への願い、そして「笑い」を大切にする昔ながらの暮らしの知恵が詰まっています。
厳しい寒さの中でも、人と人が向き合い、笑い合い、酒を酌み交わす。
そんな時間があるからこそ、この行事は何百年も途切れることなく続いてきたのかもしれません。
市川の伝統文化を感じられる貴重な行事
市川市には数多くの伝統行事がありますが、「にらめっこおびしゃ」はその中でも特に個性的で、記憶に残る行事です。
地元の文化に触れたい方、市川ならではのイベントを見てみたい方にとって、一度は訪れてほしい祭りといえるでしょう。
冬の市川で受け継がれてきた、笑いと祈りの伝統行事。
機会があれば、ぜひ現地でその空気を体感してみてください。
参考:市川市ホームページ
アイキャッチ画像は「公益社団法人 千葉県観光物産協会」より提供











