
本八幡エリアを歩いていると、国道14号(千葉街道)沿いの一角に、鳥居と祠(ほこら)に守られた小さな竹藪が現れます。
それが「八幡の藪知らず」。市川市役所の向かい側にあり、街の喧騒のすぐそばなのに、ここだけ空気が切り替わるような独特の存在感があります。
「足を踏み入れると二度と出られない」「祟りがある」など“禁足地”として語られ、言葉としても「出口がわからず迷うこと」のたとえに使われてきました。
江戸川乱歩『孤島の鬼』や夏目漱石『行人』などの作品でも比喩として登場します。
Contents
八幡の藪知らずってどんなところ?
(八幡の藪知らず(やわたのやぶしらず))
「八幡の藪知らず(やわたのやぶしらず)」は、本八幡エリアの街中に“ぽつん”と残る小さな竹藪(たけやぶ)で、昔からむやみに立ち入ってはいけない場所として語り継がれてきたスポットです。
国道14号(千葉街道)沿い、市川市役所の向かい側という分かりやすい場所にあり、周囲は車通りも人通りも多いのに、鳥居と祠(ほこら)に守られた一角だけが別世界のように感じられます。
観光地として大きく整備されているわけではありませんが、だからこそ“日常の中に紛れ込んだ不思議”を体験できる場所です。
不知八幡森(しらずやわたのもり)とも呼ばれる!

(現地案内板)
この藪は「不知八幡森(しらずやわたのもり)」とも呼ばれ、古くから「一度入ると出られない」、「道に迷って戻れなくなる」といった伝承が残っています。
名前自体が強烈で、場所の雰囲気とも相まって、初めて見る人ほど「え、ここって何…?」と立ち止まってしまう存在感があります。
一方で、ただ怖い話が残るだけの場所…というより、背景には“土地の歴史”もあるとされています。市川市観光協会の紹介では、もともとここが行徳の入会地(共同で利用していた土地)であり、八幡の住民がみだりに入ることを許されなかったことが由来では、という説明もあります。
つまり「入ってはいけない」という言い伝えは、単なる怪談ではなく、地域のルールや境界意識が長い時間をかけて“伝承”の形になっていった可能性がある、ということです。
そう考えると、八幡の藪知らずは“怖い場所”というより、地域の歴史や人々の感覚が残された場所として見えてきます。
また、「藪知らず」という言葉は、文学作品の中でも比喩として使われてきたことで知られています。現地を訪れると、観光名所というより“言葉の元になった空気”を感じに行くような体験に近く、短時間でも印象に残りやすいのが特徴です。
初めて行く方は、「中へ入る」ことを目的にせず、外から静かに手を合わせて雰囲気を味わうのがおすすめです。すぐ近くには葛飾八幡宮もあり、参拝とセットで回ると「八幡エリアらしさ」をより深く感じられます。
見どころ|小さな区画に詰まった“異質さ”
1)街中なのに、竹の気配が濃い

(街中の竹藪)
藪知らずは決して広大な森ではなく、周囲は宅地化が進み人通りも多い場所です。
にもかかわらず、竹が密に立つ区画だけが“別枠”で残っているため、コントラストが際立ちます。
2)鳥居と祠(ほこら)|不知森神社として外から手を合わせる

(不知森(しらずのもり)神社)
八幡の藪知らずは、ただの“竹藪”ではなく、入口付近に鳥居と小さな祠が設けられ、不知森(しらずのもり)神社として手を合わせられる形になっています。
市川市観光協会の案内でも「鳥居と祠に護られた小さな竹藪」と紹介されており、街中にありながら“ここから先は別の場所”という境界がはっきり感じられるポイントです。
ここは“入って確かめる場所”というより、外から静かに拝む場所。鳥居の前で一礼し、祠に向かって手を合わせるだけでも十分に雰囲気を感じられます。
3)“入ると出られない”という、言葉の力
広辞苑にも項目があるほど有名で、「迷い込んで出られないこと」のたとえとしても使われてきた、という文化面が最大の見どころ。
現地に立つと、その“言葉の力”が、意外とリアルに感じられます。
所要時間の目安|散歩の「寄り道」にちょうどいい
滞在時間:5〜15分程度(外観を見て、由来を読み、写真を撮るくらい)
本八幡の街歩きの途中で、短時間で立ち寄れるスポットです。
もし周辺もあわせて回るなら、次の「周辺セット観光」まで含めて 60〜90分 ほど見ておくと満足度が上がります。
アクセス|本八幡駅・京成八幡駅から歩ける

(地図:Googleマップで見る!)
所在地は「市川市八幡2-8」。
周辺の目印としては「国道14号線をはさんだ市役所の向かい」がわかりやすいです。
最寄り駅は本八幡エリア。すぐ近くの葛飾八幡宮(同じく八幡4-2-1)の公式案内では、徒歩目安は次の通りです。藪知らずもほぼ同エリアにあります。
JR/都営新宿線 本八幡駅:徒歩10分前後
京成電鉄 京成八幡駅:徒歩5分前後
車の場合:京葉道路 市川I.C. から約15分(周辺は混みやすいので注意)
おすすめ時期・おすすめ時間帯
竹がきれいに映えるのは、晴れた日の午前〜昼
竹の緑が明るく、写真も撮りやすいです。夏は暑さ対策が必須(日陰はあるものの、周辺の歩道は暑くなりがち)
秋〜冬は散歩向き
空気が澄んで、街歩きが気持ちいい季節。短時間で寄れる“寄り道スポット”として相性が良いです。
注意点|“禁足地”としての距離感を大切に
無理に中へ入ろうとしない
「禁足地」として語られてきた場所です。柵や表示がある場合は必ず従い、基本は外から手を合わせるスタイルがおすすめです。夜間の訪問は控えめに
雰囲気が出る反面、歩道や周辺の安全面(自転車・車通り)を優先したい場所です。子連れは“怖がらせない”導入がコツ
いきなり怖い話に寄せるより、「昔から大切に守られてきた場所」「入ってはいけない決まりがあった」くらいの説明から入ると安心です。
周辺セット観光|一緒に回ると“八幡エリア”がもっと面白い
1)葛飾八幡宮(徒歩圏)
藪知らずのすぐ近くにある、八幡エリアの中心的存在。参拝や境内散策とセットにすると、短時間でも「来た価値」がぐっと上がります。
▶︎葛飾八幡宮|初めてでも迷わない参拝・散歩・見どころガイド【市川市】
2)葛飾八幡宮のイチョウ(季節の見どころ)
秋の散歩なら特におすすめ。藪知らず→八幡宮→イチョウ、の流れが作りやすいです。
▶︎《葛飾八幡宮の紅葉》参道と境内のイチョウが美しい紅葉風景!
まとめ|“通りすがり”でも記憶に残る、不思議な小スポット
八幡の藪知らずは、広い境内を巡るタイプの観光地ではありません。
けれど、国道14号沿いという街のど真ん中に、鳥居と祠に守られた竹藪が“ぽつん”と残っている光景は、それだけで強い引力があります。
「入ると出られない」「迷って戻れない」といった伝承は、怖い話として語られる一方で、土地の歴史や人々の記憶の積み重ねとして今も受け継がれてきました。
実際に現地に立つと、竹が密に立つ気配や境界の雰囲気から、ほんの数分でも「ここは特別な場所かもしれない」と感じる人が多いはずです。
訪れ方のコツは、無理に“中へ入る”ことよりも、外から手を合わせ、周辺の空気ごと味わうこと。
本八幡駅・京成八幡駅から歩ける距離なので、街歩きの途中に短時間で立ち寄れるのも魅力です。
子連れの場合も「昔から大切に守られてきた場所」として紹介すると、怖がらせずに雰囲気を楽しめます。
また、せっかく八幡エリアまで来たなら、近くの葛飾八幡宮とセットで回ると満足度がぐっと上がります
参拝で気持ちを整え、季節によってはイチョウの景色も楽しめるので、「不思議な竹藪」→「由緒ある神社」→「季節の見どころ」という流れで、短い散歩でも内容の濃い時間になります。
本八幡の街には、日常のすぐそばに“物語の入口”のような場所が残っています。
八幡の藪知らずは、その代表格。時間がない日でも、ふらっと寄れるのに記憶に残る、そんなスポットとして、ぜひ散歩コースに加えてみてください。









